「どうして助けてくれなかったの？」
2005年1月21日 日々思ったこと・・・彼女はカッと目を見開き、ガイコツのようになってしまった顔から
舌をだしたまま、やっと、息を引き取りました。
私を睨んだまま。
「水谷先生、どうして私を助けてくれなかったの？」と訴えるように。
夜回り先生、水谷さんが涙を流しながら、どこかの壇上で
言った一言です。
「どうして助けてくれなかったの？」
私も、言われたことのあるセリフです。
私と言うか、私とケイくんに対してですが。
どれだけどれだけ行動しても、届かないこと。出来ない事。
それは残酷に、沢山ありすぎています。
水谷先生のお話を読んで、そしてテレビをみたって
私には何も出来ません。
水谷先生の”何か”を欲している子供たちは
私みたいな人間の言葉でも、
水谷先生の言動に心打たれている私を批判・批評して楽しんでる心無い人の言葉でもありませんもの。
そして、本当の本当は、水谷先生の”何か”でも、ないだろうな。
その「欲しいもの」は。
私は、
シンナーも、
そしてなんて言うものかわからないけれどアロマオイルの瓶みたいなものにはいった
よくわからないドラッグも
見たことがあります。
（やってたんじゃねーの？と言いたい方は、どうぞ言っていてください。
どこまでが真実かわからない世界のただの文字ですから）
水谷先生とまではいかないけれど
それを手に持って、とろんとしながら
「自分は家族に愛されていない」
「だれも自分の事を必要としていない」という彼女の手をもって
「いますぐに！それ、ここで叩き割って！」と
寒い寒い日に、公園の片隅で
説得したことがあります。
こんな現実逃げたいからって、隣町の繁華街で買ったといってた
よくわからないもの。
凍えるように体がなるまで話して、彼女の手でそれを力いっぱい叩き割った後
彼女はそれを「あーあ、どっかいっちゃった」としばらくドブとか探していたのを
私はどう表現したら言いかも検討つかないキモチで見つめていました。
・・・結局、その後は自分を大切にしない生き方を選んでいった彼女とは
音信不通ですが。
シンナーをやりつづけて、正しい判断が日常生活でできなくなったひとも
調度その頃、いました。
もう何を言ってもムダなんだって心から思いました。
両方とも、16くらいの時です。10年も前か。
よくわからないドラッグを吸引していた彼女の
「これをやるとねえ、全てがテレビの中にあるみたいに見えるの。
この世の全てが」という表情そして声も一生忘れることはできません。
そして、シンナーでなにがなんだかわからなくなった相手の
怒声、悲鳴、周りの何もかもを傷つけるような言動も
一生忘れることはできません。
きっと、その相手はもう死んでるかと思いますが。
「この世の全てが、テレビの中にあるみたいなの」・・・。
容赦ない現実、容赦ない事実。
親に愛されていないという悲しい日々だけが
ただただ横たわっていました。
彼女へ私が何を言っても、まったくダメです。
彼女が欲しいのは親からの愛情、ただそれだけでしたから。
水谷先生は本当に強いなぁと思います。
私は
「どうして助けてくれなかったの？」
と言われた時に、相手の全てが見えなくなって
友達として、いやそれ以上に人間として相手を認められなくなりました。
私は、水谷先生みたいに大木のような御人ではありません。
葉をむしられたらすぐになくなってしまうし、
幹をみしられたらすぐに折れてしまうようなちっぽけなモノです。
そうやって
「どうして助けてくれなかったの？」とむしられたら
全身全霊、悲鳴をあげてしまいました。
「どうして助けてくれなかったの？」
それを、誰かに言うほうと、
「どうして助けてくれなかったの？」
それを、聞く方には
どうしようもないくらいの距離があって
それは絶対に交わることのない距離で。
・・・でも。
できれば生きていく上で、究極の選択とするならば
「どうして助けてくれなかったの？」と
言われるほうでいたほうが良いとおもいます。
相手の何かを、相手そのものの大切な何かを
むしるような生き方をするくらいなら。
鷲掴みにしてむしりとっても、闇は埋まることはないから。
むしりとるくらいなら
むしりとられる生き方でいられたほうが良いんじゃないでしょうか？
「どうして助けてくれなかったの？」
「私は助けたかった。あなたを助けたかった。
あなたを助ける為には、あれ以上いったい何をすればよかったの？」
言われた側は
永遠に、言うことの出来ないせりふです。
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